東京物語
小津安二郎監督の「東京物語」を鑑賞しました。内外で非常に高い評価を得ている作品です。
- 題名:東京物語
- 出演:笠智衆、原節子、他
- 監督:小津安二郎
- 製作年:1953年
小津安二郎監督の「東京物語」て1953年に製作されたんだね。映画を見てどんな印象だったの?
アーリーバードは初めて見たのですが、一言で言うと、まだ自分の中でうまく消化しきれていません。ちょっと印象は違いますが、見た後にもまだ考えさせられる映画、と言う点では、ニューシネマパラダイスを見終わった後の状態と似ているかもしれません。
以下感想を説明していきます。
なお、以下では映画の内容を一部ご紹介することになるので、まだ鑑賞されていない方はネタバレする部分があることを予めお含みおきください。
映画の感想
映画を見ながらまず思ったのは、これは今から約70年前の戦後8年しか経っていない頃に製作された映画なので、話すスピードも時間の流れも現代に比べるととてもゆっくりしているということです。
新幹線もまだなく、広島と東京が汽車で十数時間かかる、そんな時代です。そのため、東京に行くと言うのは、今に例えるならば、東京からニューヨークやロンドンに行くのと時間的には同じ遠さだったのかもしれません。
生活ぶりを見て感じることは、今コロナ禍にあるから余計に感じるのかもしれませんが、人と人との距離が近いと言うこと。これは、物理的な距離もそうですし、心情的な距離という意味でも近いと思いました。
そして、見ながら一番不思議に感じたのは、笠智衆演じる平山周吉・とみ夫婦に対し、その子供達がとる「冷たい態度」でした。アーリーバードは違和感すら感じました。
おそらく、ここが小津安二郎監督が一番主張したかったことなのではないかと思いました。
戦後8年という復興の中、東京という都会で生活すると、皆生きることが精一杯になってきて、かつて持っていた優しさがいつの間にかなくなってくる。それが当たり前になって、失っていることすら気にならなくなってしまいます。時代の流れなのかもしれないが、なぜか一種のやるせなさを感じざるを得ない。ここは70年後の現代に通ずるものがあるかもしれません。
一方、原節子演じる紀子は、都会で暮らしながら都会の暮らしに染まりつつも、それに必死で抵抗しながら優しさ・自分らしさを維持している。
おそらく、笠智衆演じる周吉も、それら全てを肌で感じていたのでしょう。紀子に対して、良い人が見つかったら再婚することを勧めつつ、紀子の持つ変わらぬ優しさに対し感謝の気持ちを表しています。それを変わらずに持ち続けてほしいとの思いから、妻・とみの時計を紀子に渡しているようにアーリーバードには思えました。
小津監督は、この時代の人々が持つ、そのような様々な感情を視聴者の心に残したい、そういう思いでこの映画を作られたのではないか、とアーリーバードは思いました。
まとめ
東京物語は見終わった後に爽快感や感動があるタイプの映画ではありませんでした。むしろ「うーん」と考えてしまう、そんな映画でした。
ただ、見ている最中は次はどうなるのだろうと見いってしまう映画でもありました。
アーリーバードはいまだに消化し切れていないのですが、総合評価は暫定的に100点満点中90点としました。今後評価は変わっていくかもしれません。
ぜひみなさんも機会があればご鑑賞ください。
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